岩木健康増進プロジェクト

岩木健康増進プロジェクト

背景とその経過

 日本は超高齢化社会を迎え、高齢者における健康増進および医療費の削減が社会的課題となっています。
 なかでも、もっとも寿命の短い青森県は、日本で最も多くの健康・医療課題を抱えた地域であり、加齢性疾患および生活習慣病により県民の健康は大きく損なわれています。
 この様な状況の中で、弘前大学・弘前市・青森県総合健診センターは、短命県返上を目的に、平成17年から弘前市(岩木地区)において岩木健康増進プロジェクトを立ち上げ、19年にわたり、同地区住民を対象に健康状態の現状とその問題点を詳細に調査し、健康指導など住民の健康増進活動を実施してきました。
 本プロジェクトは、教育・研究・実践の拠点で地域住民を軸に医学・健康に関係する多職種が集うプラットフォームでもあります。


概要

弘前大学・弘前市・青森県総合健診センターは、「短命県返上」を目的にH17年度(2005)から弘前市(岩木地区) において、“岩木健康増進プロジェクト(大規模住民合同健診)”を実施。
岩木健康増進プロジェクト Iwaki Study

1 “健診”として周知されており、19年間継続
2 頭からつま先までカバーする多様な検査項目(2,-3,000項目)
3 ゲノムから腸内細菌、軽度認知機能関連まで幅広く測定
4 学生の教育活動にも活用
5 行政、大学、健診センターの協力体制が確立している
6 健康啓発活動を行う住民(健幸リーダー)を育成し、健康啓発を行う
7 多くの論文発表と新たな可能性(高いポテンシャル)

残存歯数の減少や飲酒、聴力低下が認知機能低下のリスクとなる
肥満に腸内細菌が関与し、その細菌叢は60歳前後で変化するなど
地域に密着した活動を行っており、社会実装に向けた信頼関係が、構築されている!

組織概要

※大学と行政、住民がしっかりと連携した推進体制を構築
※短命返上、健康教育、研究のコア拠点であり、関係多職種が集う一大プラットフォーム


プロジェクト健診の様子(弘前市岩木地区)


弘前COI拠点への企業連携(参画)イメージ


多因子・ピュアビッグデータを網羅的に検討

※過去16年間で延べ”約2万人分”以上のデータ蓄積(含小中学生)


プロジェクト健診の検査内容


ピュアで多因子な”健康BigData”

※世界に類例のない幅広いデータの存在→現代病はきわめて多因子(認知症も)、認知症以外(心臓病・がん等生活習慣病)にも対応できる可能性

脳・精神科関係(認知症): MMSE,CDTなど約15種のテスト、血液中のamyloid β40,amyloid β42、MRI 撮影、嗅覚テスト、重心動揺計
歯科口腔環境(残存歯数測定、歯周病、唾液量、細菌)
好中球活性酸素種産生能+リンパ球機能、サイトカイン、 ホルモン
腸内細菌(T-RFLP法+16Sメタゲノム、全ゲノムメタゲノム)
体力・運動能力測定
メタボリックシンドローム、ロコモティブシンドローム+骨代謝、糖代謝、脂質代謝、アミノ酸代謝、関節X線撮影、MRI撮影
動脈硬化(PWV)
全ゲノム測定
心エコー検査、腹部エコー検査
⑩その他のデータ:脂肪酸分析、アミノ酸分析、糖代謝、骨代謝、血清微量元素(セレン、銅、アルミニウム、亜鉛など12種)、
呼気ガス濃度(一酸化炭素、一酸化窒素など4種)、メタボローム解析(血液)
など 2-3,000以上


2020年度はコロナ渦において感染予防対策を徹底し規模を大幅縮小した上で実施

DX対応した新たな健診

※住民の皆様が安心して健診を受信できるよう感染予防対策を徹底。完全予約制とし、受信者、スタッフに関わらず事前の健診2週間からの体調確認も行った。


岩木プロジェクト健診における企業等の参画状況