社会実装

社会実装

COI-NEXTの取組 ― 世界の健康づくりへ

① 健診+結果通知+健康教育を即日完了  最先端のDX技術を導入
  新行動変容プログラム「セルフモニタリング式QOL健診」

 

 

 医療費などの社会保障費の問題が深刻化する現在、予防医療・先制医療など疾病になる前に予防や対策を行う医療への期待が高まっています。このため本拠点では、従来型の健診をさらに補完し、健康意識(ヘルスリテラシー)の向上を目的に、これまでのノウハウや知見を凝縮した新行動変容プログラムとして「QOL健診」を開発しました。この健診の特長は、検査項目を「メタボリックシンドローム」「ロコモティブシンドローム」「口腔保健」「うつ病・認知症」の4つの重要領域に絞り込み、健診の即日約2~3時間のうちに健診の実施・結果通知、その後の行動変容に向けた健康教育までを一気通貫で完結させるコンパクト型のプログラムパッケージです。
 COI-NEXTでは、「QOL健診」のDX化を加速して、IoT端末に加え将来の遠隔・非侵襲の技術等を活用した新たなモデルを追求し、健康成人のみならず、乳児から寝たきりの高齢者までが、日常生活のなかで自宅にいながらセルフで簡単かつ気軽に健診を受診し、健康教育で行動変容の動機づけを楽しく継続的に受けられるセルフモニタリング式「QOL健診」プログラムへと発展させていきます。将来的に複数のSDGs(持続可能な開発目標)、とりわけSDG3「すべての人に健康と福祉を」への貢献を見据え、日本国内にとどまらず、アジア諸国を中心とした世界への展開を目指しています。すでにベトナムでの展開を開始し、現地の健康医療関係の行政機関や大学等研究機関、日系企業などの訪問調査を実施、独立行政法人国際協力機構
 (JICA)の「草の根技術協力事業(草の根協力支援型)」の事業として採択され、2023年7月にはハイフォン市疾病管理センターの医師を招聘し、「QOL 健診」の研修も実施しています。将来的にはここで得た知見をもとに、周辺の開発途上国などにも普及展開していくことを目指しています。

「QOL健診」の国際展開

 

② ヘルスケア・デジタルツインの実装

 

 COI-NEXTプロジェクトでは、岩木健診から得られる多様なビッグデータ、リアル・ワールド・データを保有する本拠点の強みを最大限活かし、ヘルスケア分野におけるデジタルツイン(ヘルスケア・デジタルツイン)の実装にも果敢に挑戦していきます。
 ヘルスケア・デジタルツインとは、個々人が日常の生活を自然に送っているだけで、フィジカル空間(現実社会)のあらゆる動きがサイバー空間(仮想社会)にリアルタイムで反映され、サイバー空間からフィジカル空間ヘフィードバックを受けられる仕組みのことを指します。多様なデータが統合されたサイバー空間上で開発した健康行動変容AI(人工知能)が、日常生活および人生の中で健康になる介入・改善経路を示し、健康な未来への道のりを歩む物語、すなわち「ヘルスジャーニー(健康物語)」を描き出します。そして、サイバー空間から、シミュレーションや最適な生活習慣への介入方法などのフィードバックを受けて、人々がフィジカル空間でヘルス ジャーニーを実現していくサイクルを作りだします。すごろくのようなゲーム感覚で、楽しみながら健康的な生活を実践し、ワクワクしながら人生を楽しむことで、サイバー空間とフィジカル空間のヘルスジャーニーを一致させることを目指しています。

 

③ PFS/SIBの導入による健康イノベーションエコシステム

 

 COI-NEXTプロジェクトでは、健康×新産業で経済を循環させる新たな社会、健康を基軸に地域経済が発展し、それによって住民の行動が変わり健康になるモデルの創造を目指します。本拠点が中心となって、参画企業や地域ファイナンス、弘前市や青森県とともに、地域の人々を健康にする事業の創造に取り組んでおり、弘前を本拠とする法人の設立、ベンチャー企業への投資や育成、ソーシャルインパクトボンド(SIB)*1 などの資金循環モデルの確立を行い、弘前発の健康イノベーションエコシステムの構築に挑戦しています。

*1 PFS(Pay for Success)/SIB(Social Impact Bond)新官民連携(成果連動型民間委託契約方式)民間資金を活用して革新的な社会課題解決型の事業を実施し、その事業成果を支払いの原資とすることを目指すもの。

 

弘前大学健康未来イノベーション研究機構