弘前大学COI × りんご飴マン 特別企画

日本一の短命県返上!
青森県が取り組む『寿命革命』について聞いてきた


青森県弘前大学・医学部
「ふぁ~今日も疲れた!目的もなく学内をうろつくのは楽しいなぁ。Twitterのフォロワーも増えたし、満足満足」

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「さあて、夕食にしよう。学食へ行く勇気はないからね」
「最近のハマリはこれ。袋めんに粉末スープをぶちこんで、生のままバリバリ食べる。うめぇんだ、これが。いただきます!」
「そこで何をしているのかな…?」
「あっ、あの大丈夫です。今出ていきますけども」
「いや、それはいいんだけど。君が食べているそれ。よく食べるの?」
毎日ですけども」
「ちょっとこっちに来なさい」
「ええええ!!!!なにこれ怖い!!今年で30歳なのにおじさんと手を繋いでる怖い!!!!」
「ダメじゃないか、そんなもの毎日食べちゃ。君は肌荒れを気にしているようだけど、健康だけじゃなくて美容にも悪いよ」
「だって、おいしいんだもの。ところでおじさん、一体誰なの?」
「弘前大学で教授をしている村下という者だよ」
すごい人だった。ごめんなさい!!!!」
「ははは、いやいやそんなことないよ」
「僕、フォロワーが多い人とか、偉い人にはすぐ媚びるクセがあるんでよろしくお願いします。ところで村下さんは普段はどこで何をされている方なのですか?」
「えっとね、『弘前大学COI』と言って、認知症・生活習慣病研究とビッグデータ解析の融合による画期的な疾患予兆発見の仕組み構築と予防法の開発をしているところなんだ」
「なるほど、全然わからん」
「ははは、固いよね、この正式拠点名(笑)。えっとね、ご存じのとおり、青森県は男性も女性もず~っと日本一の短命県でしょ、不名誉だけど」
「はい。改めて聞くと結構ヤバいことですよね…」
「それを何とかしないといけないということで、約10年前から岩木地区(旧岩木町)の体育館で毎年10日間かけて大規模な健康診断を始めたのね。そこで集められたのが、何と600項目の幅広い貴重なデータ。これがいわゆる健康ビッグデータといわれるんだけど、聞いたことある?」
「ありますあります。だけど、ビッグデータってみんなカッコつけて言いたいだけだと思っていました。『俺、今日ビッグデータなんだよね、つらいわー』みたいな」
「(笑)。それらを解析していくと、病気にいつなるかを予測できる。どんな人が病気になりやすいかとか、病気にならないための予防法とか、日々研究しているんだよ。そしてこの研究を活用し、企業や役所と力をあわせて、いずれは青森県の短命県問題を解決しよう、という政府の大きなプロジェクトが弘前大学COIだね」

岩木健康増進プロジェクト健診の様子
「とにかく早めに予防する、ということですね。例えば…ガンとか?」
「そうそう…。ガンなんてもう・・・青森県は死亡率もワーストだし。男性の平均寿命は50年前からワーストだからね」
「うわぁ…。でもそれって何が原因なんですか?」
「やっぱり、生活習慣だよね。しょっぱいもの、カップラーメン大好き。運動もしない、タバコも吸う。体に悪いって言われるものは大体ナンバーワンだから」
悪そうな奴は大体友達ってやつですね。でもいつも思うのが、なんで青森県だけそんなワーストを総ナメしているんですか?寒いから?」
「日本一の長寿県ってどこだか知ってる?実は長野県なんだよね。同じくらい寒いし、雪もあるよね。一番違うと言われているのは、『健康に対する意識』だと。長野県は長い歴史の中で、山々に囲まれた厳しい環境の中でいかに病気にならずに過ごすかという運動が生まれて、徐々に浸透していった」
「意識高い。意識高いよ長野県。対して青森は意識低い系、だと」
「なんちゅうか、これは自論だけど特有の気質じゃないかと。『ちょっとくらい早く死んでも別にいいじゃねぇか、俺がいいって言ってんだから』、みたいな(笑)」
「全然研究の成果っぽくない答えきた(笑)でもわかるから怖い。僕も津軽の人に『人生は太く短く生きるんだよ!』って力説されたことあります」

岩木健康増進プロジェクト健診の様子
「ちょっと言いにくい話なんですけど、やっぱり『健康は大事』とだけ言われても、僕はピンとこないというか。分かってはいても、不味いの食べたくないし」
「それはそうだよね。だから最近は美味しくて健康に良い食事を推進する活動が広まってきているんだよ。例えば、『だし活』とかそうだよね」

我慢の減塩ではなく「おいしい減塩」を推進する「だし活」
「なんか青森県知事が躍っていたやつだ」
「だしをちゃんと取ることによって塩分摂取量が抑えられる。西日本はだし文化が浸透しているよね。やっぱり青森は、塩とか化学調味料で濃い味付けをしがちだから」
「美味しくて減塩できるなら続けられそうですね」
「食卓だけではなく、その他にも外食産業やコンビニ、企業や教育機関で健康を意識した取り組みが今後ますます活発になるよう、弘前大学COIは日々研究しているよ。これらが順調に採用されていけば、みんなの生活圏にある食べ物が知らず知らずのうちに減塩志向になったり、企業や教育現場の健康診断レベルで健康づくりが実現できるんだ」
「特に外食やコンビニについては、今まではなんか健康食って特別でしたもんね。『オーガニック』とか『ナチュラル』とか『無添加』とか。無理せずに長生きできるなら、それが一番いいなぁ」
「長生きといっても、元気で健やかに生きられる期間を延ばす、いわゆる『健康寿命』を延ばすことが重要なんだ。ただ寿命を延ばすことがその人の人生にとって必ずしも良いこととは限らないからね。短命県を脱却し、健康寿命を伸ばす。そして生活の質と幸福度も合わせて向上させていく。これを総称して『寿命革命』なんて言ってるよ」
「すごい、すごいよ村下さん!今は日本一の短命県である青森県がこれを実現させたらカッコイイなんてレベルじゃないよ」
「村下さん、すごい貴重な話をありがとうございます。最後に聞きたいんですけど、僕らみたいな若者って健康に一番興味のない年代だと思います。どうしたら少しでも関心を持てるようになりますかね」
「関心がないのは、おそらく自分事じゃないからだよね。自分はまだ死なない、年老いてから死ぬんだとどこかで思っている。でも青森県の特徴は、早死にする人がとても多いということ。働き盛りの40~50代で亡くなる方が多い。それって何が原因かを遡ってみると、子供のときから蓄積されて発症する人もいるんだよね」
「えっ、そういうのって数年前の不摂生が原因で、とかじゃないんですか?」
「そう。蓄積されて蓄積されて、ある日突然倒れたりする。でも子供たちは自分で生活習慣を作る立場ではないからこそ、家庭の食卓や教育現場に僕らは今力を入れている訳です」
「なるほど。そういう意味で言うと、やがて生まれてくる自分の子供のためにもなるわけですね」
「そーいうこと!義務教育を終えた若者たちには、是非今からでも健康に対する意識を高めていってもらいたいですね」

村下さんは取材後、「こういう活動を既に知っている人はいいんだ、言わなくても健康に気をつけているから。我々が伝えたいのは、やっぱり関心の薄い方々」と言っていた。

食生活だけではなく、僕は青森に来てから生活が色々と変わった。気が付けば、100m先のコンビニにも車で出かけるほどの運動不足だ。これなら電車で通勤していたサラリーマン時代の方がよっぽど健康的だ。これを機に、小さなことでもいいからはじめてみよう。
ありがとうございます村下さん!僕、頑張ります。
「袋めんうめぇwww」
「いや、だからそれだって!」
~おしまい~