目的 | 拠点概要

ビジョン

「経済発展モデル」と「全世代アプローチ」を軸にWell-Beingな地域社会モデルの実現へ

 

 弘前大学では、文部科学省・国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が実施する大型研究支援プログラム「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の拠点として、拠点名を「健康を基軸とした経済発展モデルと全世代アプローチでつくるwell-being地域社会共創拠点」と名付け、健康を基軸に、地域の人々を健康にする魅力的な産業を創出することによって経済発展し、全世代の人々が生きがいをもって働き続けることができ、心身共にQOLの高い状態での健康寿命を延伸する、well-beingな地域社会モデルの実現を目指しています。「健康を基軸に、地域の人々を健康にする魅力的な産業を創出することによって経済発展し、全世代の人々が生きがいをもって働き続けることができ、心身共にQOLの高い状態での健康寿命を延伸する、well-beingな地域社会モデルの実現」というビジョン達成のため、3つのターゲットを定め、4つの研究課題に取り組んでいます。
 戦略に2つのキーワード「経済発展モデル」「全世代アプローチ」を掲げています。「経済発展モデル」は健康への投資促進により地域経済が発展し、健康な住民が活力ある地域を支える資本になるという形で「健康資本」が好回転し、心身状態だけでなくお金の面でもwell-beingが達成されるという社会モデルの実現を目指すもので、2つ目のキーワード「全世代アプローチ」では、企業の健康経営を更に推進することで、地域で働く人々が若いうちから自然にヘルスリテラシーを身に付け、中高年に至るまで豊かで健やかに働き続け、高齢者も活発な地域イベントへの社会参加を楽しむことができる、QOLが高い状態での健康寿命が延伸する地域の実現を目指しています。

 

―2つのキーワード「経済発展モデル」「全世代アプローチ」―

 

背景

「短命県」と「小児肥満」の社会課題解決に向けて「岩木健康増進プロジェクト健診」

 日本は超高齢化社会を迎え、内閣府の調査では65歳以上が総人口に占める割合が29.0%(令和4年)に達し、2037年には33.3%、2070年には 38.7%に達すると予測*1 されており、高齢者における健康増進および医療費の削減が社会課題となっています。なかでも青森県は高齢化に加え、40歳以上の加齢性疾患・生活習慣病の罹患率・死亡率が高く、県民の寿命を大きく損なっています。厚生労働省が5年ごとに行っている都道府県別平均寿命ランキングで、青森県の平均寿命は全国最下位で、男性は1985年から、女性は2000年から平均寿命最下位の状態が続いています。さらに青森の児童生徒の肥満傾向も深刻な課題となっています。5~17歳の男女各年齢別において、7つの区分で全国ワーストを記録しています。*2
 弘前大学では、この状況を打開するため2005年に弘前市岩木地区の住民に対して健康増進活動「岩木健康増進プロジェクト健診」(以下、岩木健診)を開始しました。健診は、地区の大きなホール(公民館)にて毎日約300人もの医師を含む医療系スタッフが連続10日間にわたり、1日当たり約100人、合計して約1,000人を対象に行うものです。健診のブース数は例年約50、早朝から開始し、所要時間は1人当たり平均して5~7時間程度を要する大規模なものです。
 これまで新型コロナウイルス感染症の状況下でも実施方法を工夫し、厳重な感染予防対策の上、住民に協力をいただいて健診を継続しました。また、拠点の参画企業がそれぞれの専門・強みを活かし、特定の項目を計測しているのも大きな特長です。
 COI-NEXTではポストコロナ社会を見据え、二次元バーコードをベースとした受付や検査の進捗管理、測定記録入力を可能とするシステム・ネットワーク環境を構築し、健診全体を省力化・効率化させるだけではなく、参加者との物理的接触機会(感染リスク)を低減させるDX*3 健診システムを導入するなど、随時、測定方法などを刷新させています。
 今後も、住民との厚い信頼関係を基に“健康ビッグデータ”を蓄積してまいります。

*1 内閣府「令和5年版高齢社会白書」
*2「令和2年度学校保健統計調査確報(青森県分)」

 

  • 「岩木健康増進プロジェクト健診」の様子